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Lee-Byung-hun addicted

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第4話

『穀雨』 第4話

「ねえ、クランクインはいつ?」揺は彼の胸に顔をうずめたまま尋ねた。
「もうすぐ。4/20の予定。始まるとなかなか会えなくなるよ。大丈夫?」
ビョンホンは優しく彼女の髪を撫でながら言った。
「うん、対策練ってあるからご心配なく。」揺は自信ありげに言った。
「何、対策って。」怪しそうに尋ねるビョンホン。
「えっ、私5月から3ヶ月アフリカに行ってくるよ。」
「はぁ?なんか言ってることがよくわからないんだけど」
ビョンホンは慌てて半分起き上がって揺の方を向いた。
「だからね。海外青年協力隊っていうのがあってね。申し込んだの。それで3ヶ月ブルキナファソっていう国にボランティアで派遣されるんだ。」
揺は寝そべったまま天井を見ながらそういった。
「ちょっと待って。揺。何でそれに申し込んでんの?」
「えっ、申し込みたかったから。」
「いつもの仕事は?」怪訝そうなビョンホン。
「ちょうど無かったからそんなのもいいかなって思って。」揺は悪びれることなく答えた。
「じゃあさ、君は5月から3ヶ月もの間ずっとアフリカにいるわけ?」
「そう」
「そう、ってじゃあ、僕はどうなるんだよ。」
「だってあなた撮影じゃない。」
「そりゃそうだけど・・・会いたいときに会えないじゃないか。」
「会いたいときに会う?本当に?」揺はビョンホンの顔をまじまじと見た。
「会えない・・・かもしれないけど。でもさ、何もアフリカに行くことないだろ?」
「あなたに会えないならどこにいたって同じ。かえって近い方が辛い気がしたから出来るだけ遠くにしてみたんだけど。」
「君って・・・やっぱり変だよ。普通恋人が仕事で会えないっていったら予定ずっと空けておくからいつでも連絡してっ!とか言わない?でさぁ、僕が呼んだらすぐに飛んでくるんだ。それが普通じゃない?」
「あれ、普通な方が良かった?」揺はまた彼の顔をまじまじと見た。
「・・いや、普通じゃなくていいけど。でもさ、揺は僕に会いたいと思わないわけ?全然」
「私があなたに会いたくないって思ってると思う?」揺はまたじっとビョンホンの目を見つめた。
揺が自分に会いたいと思っていることは明らかだった。
少しでも仕事に集中できるように揺は揺なりに気を使ったに違いなかった。多少強引な気の使い方ではあったが。そう考えると実に揺らしい選択に思え、彼はそんな彼女が愛おしくてたまらなかった。
「あ~~なんでこんな変わった女に惚れちゃったんだろう」ビョンホンはそういうと揺をぎゅっと抱きしめた。
「離れていてもずっとお互いを感じられるくらいすっごいのしようか。」
揺はふざけたように耳元で言った。
「全く君って人にはお手上げだよ。・・」ビョンホンは笑った。
そして二人はお互いのすべてを愛おしみながら朝まで深く深く愛し合った。

揺が朝目覚めるとビョンホンはすっかり熟睡していた。
最近、仕事も忙しく疲れているのだろう。夕べもつき合わせてしまったし。こんなに疲れてて仕事は大丈夫かしら。
穏やかに眠る彼の寝顔を見つめながら揺はそんなことを心配していた。
そして、彼の頬に軽くキスをすると朝食の手伝いをするべく足早に階段を下りた。


「おはようございます。すいません。ゆっくり休ませていただいちゃって」
「あら、もっとゆっくりで良かったのに。ビョンホンはまだ寝てるんでしょ?何時に帰ってきたのかしら。」
「4時くらいだったと思いますけど」
「あら、やだ、じゃあ揺ちゃん全然寝てないじゃない。」
「いや、充分寝ました。大丈夫です。全然ほんとゆっくり寝ましたから。」
「そう?だったらいいけど」ビョンホンオモニはクスッと笑って言った。
(そりゃ、バレバレだよなぁ・・)自分の激しい弁解と目の下のクマが昨夜のすべてを語っている気がして揺は急に恥ずかしくなり目の下をそっと隠してニッと笑ってみた。
その姿を見てオモニは噴き出した。
「揺ちゃんてホント可愛いわね。早くお嫁にいらっしゃいな。」
「はい。」と返事をし何だかとっても温かい気持ちになる揺だった。


「さすがにもうそろそろ起こさないとね。揺ちゃん起こしてきてくれる?」
オモニにそう言われ、揺は寝ているビョンホンを起こしに部屋に向かった。
そっと眠っている彼に近づく。
寝顔も最高に可愛い。揺はうっとりと見つめていた。
(ここでよだれ垂らして寝ているあなたさえいてくれれば私は何もいらないけど、舞台に立っていたあなたもあなたなのよね、ビョンホンssi。太陽を独り占めにしたら私、黒焦げになっちゃいそうで。舞台に立つあなたを見ていて本当はとっても怖かった。あなたのためにわたしがしてあげられることは何なんだろう。俳優イ・ビョンホンに私がしてあげられることは仕事の邪魔をしないようにすることくらいなんだろうな。)
彼の寝顔を見つめながらそんな考えを思い巡らせていると不意にビョンホンが彼女の腕をつかんだ。
「そんな悲しい顔して何考えてるんだ。隠し事はダメだよ。」
「いやだ、起きてたの?もう。」揺はそういうと腕をつかんだ彼の手をそっと握った。
そしてその手にキスをして言った。
「大丈夫?疲れてない?」
「ああ、それより僕は君の浮かない顔の方が心配だ。何考えてたのか正直に白状しろ。」
ビョンホンはちょっとふざけたように言った。
「月は太陽に何をしてあげたらいいのかな。」
「?」
「ほら、前に彰介がそういったって言ってたじゃない。昨日舞台に立っているあなたを見て『あ~本当におっきい太陽なんだ』って実感が湧いてね。私が月だとしたらあなたに何をしてあげられるのかなって。よだれを垂らして寝てるあなたを見ながら私は何も出来ずただ黒焦げになるのかもしれないってちょっとそう思ったの。」
「なんだ、そんなこと考えてたのか」ビョンホンは笑いながら言った。
「太陽だっていっつも元気なわけじゃない。時にはもう仕事をするのが嫌になる時もある。
そんなとききっと明るい空の下でふ~っと浮かんでるお月様を見るとほっとするんじゃないかな。揺は昼間の月を見たことある?」
「そういえば・・・たまに出ているような気がするけど。」
「昼間の月ってさ、ぼ~~っと出てるだろ。実はお日様にはあのぼ~~~っとしたところが妙に魅力的なんだと思うな。きっと一緒に空に浮かんでいるだけで癒されるんじゃない。だからお月様はそのまんまで空に浮かんでればいいんだよ。それがお日様には救いなんだから。わかった?お月様。」
ビョンホンはそういうとお月様のおでこに優しくキスをした。
「そっかぁ~それでいいのか・・・。でも。」
「でも?」
「たまには黒焦げになってみてもいいかな。」
「ん?」
「お月様はきっとたまには太陽に焼き尽くされて黒焦げになってみたいって空にぼ~~~っと浮かびながら思ってたりしないかなって。」
「くくくっ・・・」笑うビョンホン。
「何?」
「いや、大胆な愛の告白だと思ってさ。じゃ、今すぐ黒焦げになってみる?」
「えっ、こんな昼間っから?」
「お日様は昼間の方が元気だから。ほら、お天気もいいし。」
「だって、お母様待ってるし。」動揺する揺。
「大丈夫。僕の寝起きが悪いのわかってるから。それに母さんは気が利くからね。」
「ええっ・・・いや、でもやっぱり嫁入り前だしね。ちょっと・・・」
「ちょっと?」
「まずくない?」
「全然。」ビョンホンはしらっとした顔で言った。
「さっ、はじめようか。」
ビョンホンは悪戯っぽく微笑んだ。





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